RyoK_LIFE

30歳半ば・私費・妻子(娘1歳)帯同・欧州MBA留学する男の記録

スペイン経済と同国の基礎情報について(メモ用)

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2022.1.6 (投稿は1.7)

個人的にはスペイン経済!と聞くと、欧州危機で苦しんだ南欧のダメな国という印象が強い(そう刷り込まれた感も否めない)。
実はよく知らないので、日本にいて見聞きする経済ニュースであまり報道されない同国の経済について要点だけでも抑えたいと思って調べてみた。
産業構造、成長率、インフレ率、大陸欧州の中でのポジションとかいろいろ知れてよかった。

スペインの経済関連の基礎情報まとめ

・面積:50.6万㎢(日本の約1.3倍)。17自治州 、自治州に50県が存在。

・人口:約4,700万人(約1/10は外国人)。最大都市はマドリード市で人口は約333万人。次いでバルセロナ約160万人、バレンシア約80万人、セビージャ約70万人、サラゴサ約65万人。

・外国人観光客数:年間約8,350万人(2019年)、欧州からのバカンス客の受け入れが中心。

・宗教:基本的には自由信仰。中世末期のレコンキスタ完了以前はイスラム教が多数派を占める地域もあったが現在ではカトリックが94%。

・1人当たり国民所得:29,586USD(2019年)(出典:IMF

GDP:1兆2,782億USD, 世界第13位(2020年)(出典:IMF

・産業別GDP構成比:第一次産業(農林水産): 3.1%、第二次産業(鉱業、製造、建設、電力): 22.1%、第三次産業74.8%(内訳:A(卸売、小売、運輸): 19.2%、B(飲食、宿泊): 8.3%、C(情報通信、金融、不動産、その他サービス): 47.3%)

・支出別GDP構成比(2016年):家計消費57%、政府支出19%、総固定資本形成20%、外需3%。※出典が古いので直近データ見つけたら更新する予定。

GDP成長率(出典:IMF):2016年3.0%   2017年3.0%  2018年2.4%  2019年2.0%  2020年 -11%

・CPI(出典:IMF):2015年0.0%    2016年1.6%    2017年1.1%    2018年 0.9%   2019年 0.7%

・失業率(出典:IMF):2015年  22.1%  2016年19.6%    2017年 17.2%   2018年15.3%    2019年 14.1%

・総貿易額(2020年)(出典:スペイン産業・通商・観光省)

(1)輸出2,612億EUR(主要相手国:フランス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、英国、米国)

(2)輸入2,746億EUR(主要相手国:ドイツ、中国、フランス、イタリア、米国、オランダ)

・軍事(防衛):防衛費拠出額は対GDP比で約1%(日本と同程度)。ただ他の主要先進国にも引けを取らない最新鋭の兵器を配備。

・主要産業:自動車、食料品、化学品、観光業(構成10%)

・主要大企業:サンタンデール銀行ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行テレフォニカ、イベルドローラ、インディテックスZARA)、アマデウスITグループ等。

・気候と農業(出典:Wikipedia):全国的に地中海性気候に属する。北部(バスク州ガリシア州にかけて)は西岸海洋性気候、つまり降水量が多い。本土から南西に離れたカナリア諸島は亜熱帯気候。農業は適地適作。北部は麦類、畜産物。中央部は麦類、ぶどう、畜産物。東部は柑橘類、コメ。南部はオリーブ、ぶどう、野菜、コメ等の生産が盛ん。

※日本との関係性
・貿易収支:スペイン→日本へ貿易黒字が主(おおよそ輸入20-30億円、輸入30-45億円)

・主要輸入品目:輸送用機器(47.2%)、一般機械(16.4%)、電気機器(10.5%)

・主要輸出品目:肉類及び同調整品(17.4%)、輸送用機器(13.9%)、医薬品(10.7%)

・日本のFDI(2020年末時点):1,438億円(2020年、フロー)。日本の対スペイン直接投資残高9,453億円。スペインの対日直接投資残高は773億円。

・在留邦人:9,170人(2020年10月1日現在)



スペインは欧州債務危機を背景に一時はGDPがマイナス成長に陥った。しかし2013年末を皮切りに経済は回復。
2010(+0.17),2011(-0.81),2012(-2.96),2013(-1.44), 2014(+1.38),2015(+3.84),2016(+3.03),2017(+2.98),2018(+2.29),2019(+2.08)
(出典:IMF

各種政策を行って財政赤字の縮小、不良債権比率の低下、失業率の改善傾向(依然高水準)と実現させて、欧州主要国のなかでも相対的に高い成長を維持した。

具体的には、財政再建策は、付加価値税(VAT)引上げ(18%→ 21%)、失業給付額の減額、省庁予算を 8.9%削減等を実施。自治州の独立性の高さが財政悪化の一因だったため、2012年 5月に予算安定法を成立させて中央政府自治州への監督を強化。労働面では、正規雇用労働者の高い労働コストが失業率悪化の一因と判断され、正規雇用労働者の解雇補償金の引下げ等の解雇規制の緩和が導入された。また、労使間交渉が見直されて、産業別の労働協約<企業単位の賃金・労働時間交渉が優先されるなど労働条件変更が柔軟化された。金融面はサブプライム崩壊で特に建設・不動産業向け与信の不良債権比率が急上昇したため与信の引当金積増し等が決定された。2011年 7月にユーロ圏財務相会合がスペイン金融機関の支援に合意。

スペイン経済は2020年-10.8%(出典IMF、世界169位/193ヶ国)と脆弱性が見られた。特に最も深刻だったコロナ禍(1-3月)には前年同期比でドイツ-11.7%、フランス-19.0%、イタリア-17.3%、スペイン-22.1%と、2割以上の経済活動が停止するなど欧州の主要4経済大国のなかでも深刻さが際立った(出典:欧州委員会統計局)。

需要項目別に見ると、政府消費が微増となった一方で、個人消費、投資、輸出、輸入は軒並み20~30%強落ち込んだ。またGDP構成比の高い第三次産業/サービス業のうち、外出制限の影響を受けやすい卸・小売・運輸・住居・飲食サービスの打撃が大きかった模様。

しかし、IMF予想ではProjected Real GDP (% Change) : 2021+5.74、2022 +6.4、また2022 Projected Consumer Prices (% Change): 1.6%、とアフターコロナのリカバリーが期待されている。

ちなみに我が国日本は、Real GDP(% Change) 2020 -4.59、Projected Real GDP (% Change) は2021+2.36、2022+3.2、2022 Projected Consumer Prices (% Change): 0.5とのこと。良くも悪くもボラティリティが小さいが、物価が上がらずリバウンド期待もこの程度。


経済対策から見る欧州(経済産業省 通商白書2021)
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2021/pdf/01-02-02.pdf

※本稿はあくまで個人的なメモが目的。出典記載等に不備がある点は前もって注書きしておく。
※清書と情報アップデートは随時行いたい。